2016年3月12日土曜日

「Riot Gamesで働くことの厳しい現実」のその後

RioterであったJonathan Pan氏は2014年3月に「The hard realities of working at Riot Games(Riot Gamesで働くことの厳しい現実)」という文章をRedditに投稿した(現在原文は削除されている。和訳はG4B掲載)。この投稿から1年後の2015年3月、当時のことを振り返った文章の和訳が以下となる。

用語説明
Rioter:ライアター。Riot社員のこと。
Red Name:コミュニティでユーザーと交流する権限を持ったRioterのこと。掲示板に書き込む際、Riotのロゴを添えられた名前が赤文字で表記されることから。

※以下の文章は2015年3月当時のものであり、「Riot Gamesで働くことの厳しい現実」は2014年3月当時の文章です。現在のRiot Gamesに当てはまる保証はどこにもありません。またこれは北米のRiot Games本社についての文章であり、別地域の支社に当てはまる保証もありません。



「求む男子。至難の旅。
僅かな報酬。極寒。暗黒の長い日々。絶えざる危険。生還の保証無し。
成功の暁には名誉と賞賛を得る。」
アーネスト・シャクルトンは南極探検隊のメンバーを募集する時、厳しくも誠実な広告をロンドンの新聞に掲載したという。後にこの警告は真実であったことが判明し、隊員たちはこのような状況に遭遇した時、全力で対処した。

1年前の今日、私はRiot Gamesで働くことの「厳しい現実」について書いた(以後「Redditへの投稿」とする)。私の意図は、Riotについて素晴らしいと思われること全てについて、厳しいが正直な話を補足することだったので、Riotの使命とその独特な文化に惹きつけられる人たちほとんどにのみ当てはまることとなるだろう。

残念ながら、私の投稿は意図しない2つの結果を引き起こした。ひとつめは、他の何よりも情熱こそが大事なのだと判断した人がいたこと。ふたつめは、Riotの文化とはこういうものなのだと私の投稿で判断した人がいたこと。これらの視点は正確ではなく、私はこの2点について記録を正し、責任を果たそうと思う。一部の志望者たちは、Riotについて言及されたもののひとつとして私の投稿を読んでおり、不正確な情報に基づいて判断を下す人が出るのはよろしくないと思っている。

1. 情熱(Passion)は何よりも優先される

ゲーム開発業界において、この「P」から始まる単語がこんなにも感情的な反応を引き出すことがあるというのに、私は驚いた。そういった反応をする人たちはどうやら、貧相な労働環境を隠すためのレトリックとして「情熱」を使う会社で働いたことがあるからのようだ。昨年のRedditへの投稿は明らかに「ワーク・ライフバランスを崩す情熱」という議論の中に私を導いてしまった。これは会社と業界にとって意義ある議題であり、私の見方はこうだ。

私は情熱のある人たちといっしょに働くのが好きで、ただ給料をもらうためだけに働くような人たちしかいないような会社で働くことは、もう私には想像できない。

しかし私は2つの間違いを犯した。1点目は、Riotの総合報酬戦略である「補償、利益、上限のない有給制度、ゲーム遊興費負担、無形の報酬、などなど」に言及せずに情熱を強調しすぎたことだ。2点目は、Riotでは情熱以上に価値のあるものはないという認識を生み出してしまったことだ。

ある個人が情熱に重きをおくということは、その個人の価値観であり、私は自分のことについてしか話せない。情熱に犠牲を払う必要のない会社で私が働けているのは、幸運なことだ。

Glassdoorにある200社以上の会社レビューの中で、他のRioterが言っていることを読んで、Riotが情熱に利益と対価を支払ってくれる場所なのか、自分で判断してほしい。Riotは最近、Fortune誌の「社員として働く会社ベスト100」の13位に入った。そこに書いてある情報も判断ソースとしては素晴らしいと思う。

2. Riotの文化

過去数年間、Riotの内外にいる人の多くが、私がRedditに投稿したことで首を切られていないことに驚いている。このことはプラスの認識とマイナスの認識両方の結果であり、一部のRioterには混乱を引き起こした。その方法が組織に由来すると感じた多くの人たちは、いかなるミスも許さなかった。それがミスなのかそうでないのかに同意すらしなかった人もいた。何が起こったかというと、私は「社長室」に呼ばれたので、これからMarc Merrill氏(Riotの社長)に厳しい叱責を受けるのだと思った。だが私は、次に起こったことにびっくりした。まず彼は、私が何をし、したこと全てについてどう思っているかを知りたがった。短い罵倒を投げつけてくるようなものではなく、本心からのものだった。そして、この出来事から会社として私たちが学べることについて、議論は移っていった。

叱られたとか、処罰が待っているとか、そう感じたことは一切なかった。

私たちはふたりとも、私の意図は良いものだったが(Riotへの入社志望者に情報提供をする)、もっと用心深く行うことはできた(もっと洗練された言葉や、プレイヤーとコミュニケーションするために私たちが使うプラットフォームであるRedditに対して、志望者とコミュニケーションするために適したプラットフォームを使う、などなど)という結論にたどりついた。文化というのは、適切に伝えるのが最も難しいもののひとつであり、いたずらに感情を煽る言葉(「Riotはあなたの人生になる」)や、決断的な口調を控えるということを私はしなかった。

もっと興味深いのは、起こらなかったことについてだ。Riotは私から、プレイヤーや入社志望者とコミュニケーションする権限を取り上げなかった。Riotは投稿を削除するよう要請してこなかった。それどころか、私の投稿は「Red Name」の一員になるための訓練──コミュニティでRioterとしてのバッジをつけるために必要な訓練に取り入れられ、実際にあった出来事のケーススタディとして、Rioterが与えられている裁量と信頼の範囲を示し、慎重にふるまうべきだという例として使われた。

Marc氏と話した後、私はBrandon Beck氏(RiotのCEO)にメールを送り、自分が引き起こした混乱について謝罪した。彼の返事はこのようなものだった。

Jonは素晴らしい、これについてのフィードバックを受け、全ての責任を負った君の勇気に感謝する。ともかく、私たちは君がやろうとしたことを理解している。力強い性質を持っているね。

君に投資した人たちの中核は本当に素晴らしく、君についてとても良い評価を下している! 君といっしょに過ごせてうれしいし、その後の状況を知らせてくれてありがとう!

Brandon
私の最初の反応は「すごい! あたたかい支援の言葉をもらえるのはいつだってうれしいなあ」というものだった。そう感じた後、このトピックについて私はもっと考えた。もし彼と私の立場が逆だったら、どうしていただろうか? 私がCEOだったら、社員を信頼するという義務を果たせただろうか? 私がしただろうことについて、私は考えない。きっと過剰反応しただろう──「新入社員を相手に、おれの会社をこんなふうに言いやがったな?」と。

このことで、私が文化について考える方法はひどく変わった。

もし私が自分で会社を立ち上げたなら、どんな文化を持った会社にしたいだろうか? 結局は、会社の文化というのはその創立者と、創立メンバーから始まるものだ。その価値の核となる、決して変わらないものとは一体何になるだろうか?

Riotで働き始めてから、こういう価値の核のひとつは、人材から導き出されるということがわかった。Brandon氏の言葉を借りるなら、才能ある人材は収支決算表に記載されるものではないが、Riotが最も大事にしている資産だ。人材に対するRiotの見方をもっと知りたいのであれば、2011年にBrandon氏が行った講演や、最近行われた2015年のD.I.C.E. Summitでの講演を見るといいだろう。

以上をもって、Riot Gamesで働くことの「厳しい現実」についての話は終わりだ。まだ何か言わなければならないことがあるとしたら、自己啓発と成長の話になるだろう。万人受けする話ではないね。今回のRedditの投稿に関する経験は、私にとって予想だにしない学習となった。今後も学び続け、毎日成長できる会社にいるということが、私がここにいる理由だ。

他のRioterから個人的な自己啓発と成長の話を聞きたいのなら、LinkedInにある私たちのグループに連絡を取ることをおすすめするよ。

原文
The Hard Realities of Working at Riot Games, One Year Later — Medium


Jonathan Pan氏はこの後Riotを退社し「Team Elemental」を設立してCEOに就任。Team Elementalは2015年12月にCloud9 Tempestの持つNA CSの参加権を買い取り「Team Ember」を設立した。Emberは2016シーズンのNA CSを勝ち抜いてNA LCS参加を目指して戦ったが、Spring Playoffでは3~4位に終わっており、LCS参加は今のところ達成できていない。Jonathan Pan氏はEmberの所属選手の給料額を明らかにしたことでも知られる。

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